忘れているのは それだけじゃないの
いくつかの扉 あけてきたまま
思い出してみて 冷たい水の上
泳ぐ時のよう 腕をとられているよ
雨の日の ピアノ
さかさまの 空
窓際に揺れてた ばら
それが 好きだった
少し悲しくて ミルクのみほした
まばたきの数を 確かめながら
息をとめていた 誰か気がつくまで
子供の頃の 遊びのようにそっと
夜明け前 揺れる
はりつめた 空
ビロードの匂いがする朝が
好きだった
割れた手鏡に 映した細いゆび
すいこまれてゆく 静かな声をたてて
後ろ向き 歩く
目を閉じたまま
ブランコを こいでいるみたいな
あの夜
雨の日の ピアノ
さかさまの 空
窓際に揺れてた ばら
それが 好きだった